レーザー励起されたヘリウム等の発光原子からの誘起蛍光の偏光度から電場を求めることができる。この方法を高密度プラズマプラズマの境界に現れるシース等の電場分布計測へ適用するためには蛍光パルスの立上がり部の偏光度を制度良く求めることが不可欠である。そのために初年度は既設の分光システムを改良し高速偏光同時計測システムを開発した。即ち分光器を透過してきた蛍光パルスをグラントムソン偏光プリズムにてP偏光とS偏光成分に分離し、2本の時間応答の良い光電子増倍管(立ち上がり時間1ns以下)と2チャンネル高速デジタルストレージオシロスコープ(2.5GS/s)を用いて両成分波形を同時記録する。 本装置の性能試験をグロー放電ヘリウムプラズマからのレーザー誘起蛍光(LIF)を用いて行い、従来の方法との比較を行った。その主な改良点を以下に示す。 1.測定精度 2つのチャンネルに記録された無偏光LIFパルス波形は実験誤差内で良く一致した。これによりショット毎に偏光度を求めることが可能となり、従来の方法と比べて原理的測定精度の向上が達成できた。 2.信号利用率 光学系の透過率(明るさ)は同程度であり、従って信号利用率は2倍に向上した。 また、得られたデータをパーソナルコンピュータにて実時間処理することによって電場強度のその場観測の可能性も示せた。
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