レーザー誘起蛍光の偏光度の空間分布はプラズマ装置(または光学系)を精密ステージに載せて走査する事によって測定するが、その位置決めの機械的精度は3μm以下と極めて高い。しかし、測定で実際に空間分解能を決めるのは信号強度(これは光学系の明るさ、レーザ強度、準安定原子密度によって決まる)である。すなわち、発光領域を分光器のスリットで切り取るわけであるので、スリット幅を狭くして分解能をあげようとするとそれに比例して蛍光信号強度が低下する。したがって、(1)レーザー光強度を増し励起密度を上げる、(2)観測軸方向の発光領域を広げる(レーザービームをシート状にする)、(3)観測光学系を明るくする、などの対策が必要となる。本研究で開発した偏光同時計測システムの性能に基づいて可能な空間分解能の評価をした結果、分光器を狭帯域干渉フィルターに置き換える、高感度の光電子増倍管の使用、大口径のグラントムソンプリズムの使用などの改善を行えば、準安定原子密度が1×10^<10>cm^<-3>程度で50μmの空間分解が可能であることがわかった。 本研究で開発した装置を用いて、磁場を印加したグロー放電プラズマのシース電場分布を測定した。その結果、(1)電子密度やガス密度が高く、励起電子のディスアラインメントによる急速な偏光消失過程が存在するプラズマにも充分適用できること、(2)核融合プラズマの閉じこめと関連して興味が持たれている電場-磁場直交配位においても偏光度の電場依存性を初めて観測し、電場分布を求め得ることを示せた。
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