低周波電磁放射、LF磁気圏伝搬波、地磁気変動(ULF磁波)、衛星で計測された高エネルギー粒子のデータを対比と詳細な解析により、地磁気擾乱に伴ってダイナミックに変動する地球プラズマ圏の様相を診断する手がかりをうることが目的である。 このために、本年度では、地磁気経度210度沿いの地磁気変動データの磁気擾乱急始時の変動を調査し、Sc/Si極域磁気変動の極域から赤道域への侵入が太陽風エネルギーの磁気赤道域への輸送にとって重要な役割を担っていることを指摘した。 また、南極昭和基地の圏界面高度、気温、気圧、オゾン変化の太陽面爆発(フレア-)に伴う変動を調査し、これらの変動とフレア-に伴う高エネルギー陽子の侵入やX線の増大との間に有為な相関があることを見いだし、太陽活動が地球大気圏変動に及ぼす影響を知る手がかりを得た。 さらに、磁気擾乱に伴ってプラズマ圏深部まで侵入する高エネルギー粒子による波動粒子相互作用の結果、強度の増大や周波数偏移をうけるLF磁気圏伝搬波の波形連続観測を、国際学術研究「太陽風変動に伴う擾乱の極域から赤道域への侵入・輸送過程の研究」(H8-9年度、研究代表、湯元清文、九大理)の協力を得て、LFデッカ電波送信局の磁気共役点のオーストラリア・バーズビルで開始した。現在、順調に東西、南北磁場2成分の波形観測が継続されている。今後、詳細なデータ解析を行い、地球プラズマ圏の波動粒子相互作用や粒子環境変動を明らかにしたい。
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