太陽活動に伴って変動する地球のプラズマ圏と超高層大気の様相を調査することが目的である。 このため、最終年度の本年度では、 (1) LFデッカ電波送信局の磁気共役点のオーストラリア・バーズビルでのLF磁気圏伝搬波の波形解析を行うことにより、地球プラズマ圏の高エネルギー粒子環境変動を調査するために、国際学術研究「太陽風変動に伴う擾乱の極域から赤道域への侵入・輸送課程の研究」(H8-9年度、研究代表、湯元清文、九大理)の協力を得て、波形連続観測を再開したが、当該観測機器の老朽化のため良質なデータを取得することが出来なかった。 (2) LFデッカ電波送信局の磁気共役点のオーストラリア・バーズビルでのLF磁気圏伝搬波は、磁気擾乱に伴ってプラズマ圏深部まで侵入する高エネルギー粒子による波動粒子相互作用の結果、強度の増大や周波数偏移を受けることが判明している。波動粒子相互作用の理論的・数値的検討を行い、観測事実の検証を行った。その結果は、研究成果報告書に詳述している。 (3) 南極ボストーク基地とグリーンランドの氷柱の、メタン、炭酸ガス、温度、酸素同位体のデータから、それぞれの長期変動の間に有為な相関があることを確認した。また、周期解析の結果、地球の気候に変動を及ぼす3つの天文学的要因であるミランコヴィッチ・サイクルが顕著に見いだされ、太陽の輻射量の変動が上記の長期変動の要因であることが確認できた。
|