研究概要 |
太陽活動に伴って変動する地球のプラズマ圏と超高層大気の様相を調査することを目的として、本研究を行った。 (1) LFデッカ電波送信局の磁気共役点のオーストラリア・バーズビルでのLF磁気圏伝搬波の波形解析を行い、磁気擾乱に伴ってプラズマ圏深部まで侵入する高エネルギー粒子による波動粒子相互作用の結果、強度の増大や周波数偏移を受けることが判明した。 (2) 南極昭和基地の圏界面高度、気温、気圧、オゾン変化の太陽面爆発(フレアー)に伴う変動を調査し、これらの変動とフレアーに伴う高エネルギー陽子の侵入やX線の増大との間に有為な相関があることを見いだし、太陽活動が地球大気圏変動に及ぼす影響を知る手がかりを得た。 (3) 太陽活動に起因し夜間に発生するPi 2型地磁気脈動の多点観測データを用いて、地震活動と地磁気変動の関連を調査した。1993年8月8日に発生したグアム地震(Ms=7,1)に伴う脈動の鉛直成分の増大は大地の電気伝導度の増大によること、及び地震活動の予測に地磁気脈動がリモートセンサーとして活用しうる可能性を示した。 (4) ニンバス7号衛星で得られた地球の緯度帯毎のオゾン全量の月平均値のデータから、太陽活動の11年変動とオゾン全量の変動の間に極めて高い相関があることが分かった。 (5) LFデッカ電波送信局の磁気共役点のオーストラリア・バーズビルでのLF磁気圏伝搬波の波形解析を行うことにより、地球プラズマ圏の高エネルギー粒子環境変動を調査するために、国際学術研究「太陽風変動に伴う擾乱の極域から赤道域への侵入・輸送課程の研究」(H8-9年度、研究代表、湯元清文、九大理)の協力を得て、波形連続観測を再開したが、当該観測機器の老朽化のため良質なデータを取得することが出来なかった。
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