画像の積分変換に関する不完全な測定値から画像を再構成する逆問題的なプラズマ画像計測について、データ欠損に関わらず画像の信頼性を高め、かつ、処理を高速化することを目的として情報処理研究を行った。高速化に有利な画像再構成法として、線形代数学の道具である特異値分解ならびにQR分解を利用した最小二乗解の線形正則化(Tikhonov-Phillips正則化とその変形)を取り上げ、特にQR分解法の一層の高速化のために新しいアルゴリズムを考案するとともに、像の最適化のための統計学的手段としてGCV関数の拡張を試みた。また、級数展開モデル当てはめ法について、悪条件に陥る正規方程式の代わりにTikhonov正則化と最小GCV基準をある仕方で導入した。そして、これらの解法の特性を確かめるための応用対象として、(1)名古屋大学工学部小型トカマクの可視光放射型CT(計算機トモグラフィー)、(2)人工衛生「ようこう」搭載の硬X線望遠鏡による太陽撮像、また補足的に、(3)仏国カダラッシュ研究所超電導トカマク「トール・シュープラ」の軟X線放射型CTを取り上げた。その結果、(1)および(3)のCTについては、QR分解法が特異値分解法と同等の像再構成を与えること、また、最小GCV基準が例えばフーリエ・ベッセル展開の項数決定についても、赤池情報量基準よりもむしろ効果的に働き得ることが、実験的に相当に明らかになった。また、(3)の硬X線望遠鏡像についても、線形正則課化法の最初の結果が得られた。加えて、これら線形正則化法と比較の対象になる最大エントロピー法についてもアルゴリズムおよび最適化の基準について研究を行い、相互比較と数値シミュレーションを含む研究の完逐に向けて態勢が整った。
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