積分変換値から画像を再構成する逆問題型のプラズマ計測として、計算機トモグラフィー(CT)と太陽X線撮像を取り上げ、線形代数学的解法の確立と展開をテーマとして、次の情報処理研究を行った。 1.(1)悪条件線形方程式の標準解法である特異値分解法(Tikhonov-Phillips法)、および、(2)計算量の少ない3回QR分解法を名大工学部小型トカマクの可視光CTデータに適用した。基底関数の様子など像合成のフーリエ式分析を行うとともに、両再構成法が実用的に同等の結果を与えることを確認した。 2.3回QR分解法の改良版として、新たに2回QR分解法を考案するとともに、QR分解法における統計学的な像最適化の方法として初めて最小GCV規準の導入を試み、上記の可視光CTについて注目すべき良好な像再構成特性が得られた。また、2回QR分解の高速性を確認した。 3.上記の線形代数学的解法を衛星「ようこう」硬X線望遠鏡データに適用し、太陽フレアの像合成ができないことを明らかにした。その根拠を調べ、この極端な少数データ問題において、最大エントロピー法の非線形解法であるがゆえの超分解に改めて注目させられる重要な知見が得られた。 4.級数展開法の正規方程式における数値的不安定に対して、Tikhonov正則化と最小GCV規準を導入した。投影角制限が強くSN比の低いTore SupraトカマクにおけるMHD振動の軟X線CTについて、フーリエ・ベッセル展開の高次項がより確実に同定され、画像が改善されることが明らかになった。
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