研究概要 |
プラズマとガスとの接触現象により生成されるフリーラジカルや荷電粒子の同定と空間分布の特定をプラズマの特性と結びつけて研究を行う。そのため磁化シート・プラズマに酸素及び水素などの反応性ガスを垂直に接触させ,生成したフリーラジカル種の特定をレーザ誘起蛍光法により測定し,それらをプローブや質量分析器などの測定により求めたプラズマの基礎特性と関連づけて定量的に解明することを目的としている。 定常な高電離・高密度のシート・プラズマを10^<-4> torr程度の真空領域に軸方向に生成させ,そのプラズマに対し垂直方向からガスを接触させると,プラズマ内で生成したフリーラジカルはプラズマを通過し垂直方向へ,荷電粒子は磁場で拘束されるために軸方向へ移動し,それぞれ分離される。分離されたフリーラジカルや荷電粒子は,以下に述べる方法により解析を行った。生成されたラジカルの密度をレーザ誘起蛍光(LIF)法で,またプラズマの諸特性(電子温度,電子密度,電子のエネルギー分布関数)をLangmuirプローブで測定した。レーザはNd:YAG励起の色素レーザの第2高調波(282nm)を用い,309nm付近のLIF蛍光を分光器を通しマルチチャンネルアナライザ(SMA)で検出した。実験の結果,アルゴン流量を増加させると,ラジカル密度は始め急激に増加し流量が10sccm程度でピーク値3.6x10^<-9>cm^<-3>となり,その後ラジカル密度は減少した。この点については,アルゴンの流量を増加させると,シート・プラズマの電子温度が30eVから数eV程度まで減少することから,ラジカル生成に電子温度が影響するらしいことがわかった。特にラジカルが効率よく生成している条件下では,電子のエネルギー分布の8eV以上の電子が減少しており,酸素の解離過程が主に起こっているものと考えている。
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