研究概要 |
1)ダイバータ-プラズマからのBe様イオンCIIIのスペクトル線強度の計算。JT60等のダイバータ-プラズマでは炭素のL殻イオンCII,CIII及びCIVからのスペクトルが測定されている。単純な電離過程を取り入れたモンテカルロ計算でBe様イオンであるCIIIのスペクトル線強度が測定と合わないと言う報告がある。これらのスペクトル線強度を準安定状態を含めた非平衡電離衝突輻射モデルによりモデル計算を行った。この結果Be様イオンの場合は準安定状態の占有密度がCIIからの内殻電離によって効率的に作られQuasi steady stateのモデルによる計算よりも準安定状態の占有密度がさらに大きくなりこの効果を考慮すれば測定値を説明できる事が解った。 2)OVの三重項のスペクトル線強度比。実験室プラズマからOVの三重項のスペクトル線2s3s^3S_1-2s3p^3P_Jが測定された。。これらのスペクトル線強度比によりプラズマ診断を試みたが理論値との一致が得られなかった。原因はまだはっきりしていないが原子データまたはモデルのせいと考えられる。 3)太陽フレア-X線スペクトル解析。人工衛星Yohkohにより太陽フレア-からのHe様Fe,Ca,SイオンX線スペクトルが観測され電子温度、emission measureの時間変化が得られている。i)プラズマ中の電離度の時間変化ii)太陽フレア-での元素組成について調べた。結果はイオン比が電離平衡に無く電離プラズマである事を示していた。スペクトル線の強度と連続光の強度の比からスペクトル線を発生しているイオンの密度と水素の密度との比を得ることが出来る。イオン分布が電離平衡にあれば電離平衡を仮定して得られた比から元素の密度と水素の密度との比が得られる。しかし前述したように太陽フレア-では必ずしも電離平衡になっていないと考えられるデータが多く時間変化を注意深く調べながら元素組成を求める必要がある。 4)再結合過程を取り入れたBe様イオン衝突輻射モデルの作成。 5)Be様イオンの励起状態への二電子性再結合過程を計算し衝突輻射モデルに取り入れた。
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