気体状試料の放射能の新しい絶対測定法、即ち長軸比例計数管内拡散法を開発し、またこの方法に基づく放射性ガスモニタ校正法を開発した。本研究は研究実施計画に従って予定の通りに完成され、得られた主な成果は以下の通りである: 1.長軸比例計数管内拡散法についての研究成果: (1)比例計数管内の計数ガスの圧力を高くすると、放射性試料ガスの拡散が遅く、測定時間が長くなり測定精度が高くなる。また壁効果を軽減できる。この目的のために新しい耐高圧力循環ポンプを開発し、5気圧までの高い圧力下で使用できる測定装置を作製した。 (2)試料ガスから放出されるβ線が計数ガス中に失うエネルギー・スペクトルをモンテ・カルロ・シミュレーション法を用いて計算した。その計算結果を用いて、各試料ガスに対して種々の圧力下での比例計数管の壁効果を評価した。評価した壁効果を測定した放射能強度に補正することにより、測定精度が一層向上した。 (3)^3H、^<14>C及び^<85>Kr試料ガスにおいて、計数ガスとしてのP-10ガス中の試料ガスの拡散の様子及び長軸比例計数管内拡散法における最適計数時間を測定した。壁効果を補正し、また最適計数時間を採用するため、長軸比例計数管内拡散法に基つく基準放射能の測定精度は0.2%以下に収めることができた。 2.ガスモニタ校正法についての研究成果: 試料ガスの定量導入装置を開発し、使用が容易で且つ校正精度の良い校正装置を作製した。比例計数管内に酸素を混入しない校正法を開発し、^3H及び^<85>Kr試料ガスを用いて通気性電離箱を校正した。校正精度は99.7%の信頼率で±1.5%以内の良い精度が得られた。
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