Tは核融合の燃料として将来に渡って重要な核種であるが、環境中に放出された被曝線量評価上、食品中の有機型Tの寄与が大きいことがドイツで構築されたモデルで示されている。一方、日本人の場合は米が主食であり、全有機型水素摂取に対する米の寄与が大きいため、有機型Tに関しても米は重要である。しかし、稲についてのT取り込みのデータは少ないため、これを実フィールドで求めることを本研究の目的とした。このためのフィールドの選択と空気中HTOの長期モニタリングのためのパッシブサンプラーの開発が本年度の目標であった。 フィールドの候補として東海村を選択した。村内で収穫された米試料を採取し、その有機結合型T濃度を測定した結果、施設周辺の地域では一般環境に比較して有機結合型T濃度が高く、最大で4-5倍の濃度が認められた。この結果を参考として、今後、実際に使用するフィールドを決めていきたい。また、原子力施設から放出されたTの米への移行経路としては空気中からの沈着が重要となるため、空気中HTOのパッシブサンプラーを自作中である。パッシブサンプラーは吸湿剤を入れた容器に外気の取り入れ口を設け、拡散によって容器内に入るHTOを捕集するものであるが、可動部分がないため、長期に渡る採取が簡単に行える利点を持つ。これに関しては現在開発を進めており、容器、吸湿剤として用いるモレキュラーシ-ブの格納法を決定した。今後、適当な拡散速度が選られる拡散孔の設定を行う。
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