研究概要 |
核燃料再処理ならぴに核融合開発の進展にともなうトリチウムによるヒトの障害を考えるとき、もっとも放射線感受性の高い胎児への影響のリスクをまず評価しなければならない。本研究はマウス胎児脳細胞培養系ならびに肢芽培養細胞系を用い、中枢神経系を含む器官の形成・発達に及ばすトリチウム水ならびに有機結合型トリチウムの影響を定量的に解析し、トリチウムのリスク推定に資することを目的とした。 平成8年度内に確立した胎児脳細胞培養系ならびに肢芽細胞培養系を用いて、平成9年度はトリチウム水の中枢神経系細胞ならびに肢芽細胞に対する障害作用を定量的に解析した。10年度は、妊娠マウスを用いて、母体にトリチウムを投与した場合の中枢神経系発達障害が細胞のアポトーシスによることを明らかにした。以上の結果、^3H-チミジン、^3H-アミノ酸なと有機結合型トリチウムは生物学的効果比(RBE)が非常に高く、トリチウムのリスクを評価する際注目する必要があることがわかった。 これらの結果を英語論文としてまとめ、Radiation Research,Health Physicsなどの国際誌発表することができた。
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