昨年度は、小型電子銃を製作し、これを用いてヘリオトロンDR装置中に於ける電子の閉じ込めを蛍光ターゲット法とステラレータ4極管法を用いて調べた.その結果、電子の射出位置がトーラス外側になるに従い、ビームエネルギーの増大と共に電子の閉じ込めが悪化することが観測され、これが高ピッチ角電子数の割合の増大によるものと考えられた. 今年度は、この点を確認するために、電子銃を単一アノード□(<5)を持つ物に改造し、指向性のある電子ビームを使って、ステラレータ4極管法により電子の閉じ込めのピッチ角依存性を調べた.その結果、理論的予測と定性的に一致して、トーラスの外側部に於いて、ピッチ角の増大に伴い電子の閉じ込めが悪化することが確認された.また、磁気軸の変位に対する依存性を調べ、磁気軸をトーラス内側に変位させる事により閉じ込めを改善できることが確かめられた.今年度はその他に、ステラレータ2極管法とキャパシティブ法による閉じ込めの評価法についても実験的に検討を行い、前者については、メッシュ状アノードを有する電子銃を用いることにより、後者に関しては、検出電極の取り付け位置を電子ビームに近づけることで測定をできる見通しが得られた. 以上の研究結果は、平成9年9月に開催された第11回国際ステラレータ会議、及び、11月に開催されたプラズマ・核融合学会第14回年会で報告された.
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