研究概要 |
1996年夏に、霞ヶ浦に面した港近傍(茨城県稲敷郡美浦村大山地先)に6つの隔離水界(縦横5mx5m、水深2m)を設置し、魚の密度を変化させる実験が一月にわたり実施された(国立環境研究所地域環境部メンバーの企画、実行)。その実験に参加し、各水界でDO,pH,水温の連続測定(5分間隔)を実験全期間で行った。また、各水界に不活性ガスであるSF_6を投入し、その経日変化を測定することから、このガスの大気-水間の交換速度を推測し、別途測定した風速との関係をモデル化した。このガスの大気-水間の交換速度係数を酸素や二酸化炭素(chemical enhancement効果は補正)にも当てはめることから、こうしたガスの大気と水間の交換量を推測し、その結果一次生産、呼吸速度を連続的に求めた。今後、各水界の生物量、魚がいる、いないとこうした生物活性との関係を明らかにする予定である。 また、過去に国立環境研究所霞ヶ浦臨湖実験施設の屋外実験池で行ったバイオマニピュレーション実験の結果を整理し、魚の存在と卓越藻類種の変化、あるいは魚の存在と水質、生物量(植物プランクトン、動物プランクトン、ベントス)、一次生産、呼吸、懸濁物質の沈澱速度といった物質循環速度との関係を定量的に解析し、まとめた。特に、流入栄養塩のN/P比の大きさや魚がいる、いないが、ラン藻類の発生に影響を及ぼすことを確認した。
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