研究概要 |
隔離水界(霞ヶ浦に設置;6個;縦横5m×5m、水深2m)を用いた水質、生態系に及ぼす魚密度の影響に関する実験(バイオマニュピレーション実験)に際し、DO,pH,水温の連続測定(5分間隔)結果から大気との交換速度を補正し、一次生産、呼吸速度を算出した。生物量、魚がいる、いないとこうした生物活性との関係を現在解析中である。 また、透明、不透明な箱中(20×20×20cm)にDO,pH,水温センサーを取り付け、内部の水を適当な間隔で入れ替え、水域での一次生産、呼吸速度を測定する装置を作成した(明暗箱法)。この装置を広島県水産試験場のいかだに設置し(4日間の調査を5回)、沿岸域での生物活性を連続測定した。この結果とフリーウォーター法(水中にこうしたセンサーを吊し、連続測定を行う方法)の結果の差から、呼吸量では周辺のかきや底質中の微生物の影響が大きいことを明らかにした。 さらに、過去に国立環境研究所霞ヶ浦臨湖実験施設の屋外実験池で行ったバイオマニュピレーション実験の結果を整理した結果、大部分の池で魚がいるとラン藻が、魚がいないと緑藻が優占する傾向が見られた。この原因は既往の数々のらん藻優占説では説明できなかった(例えば、N/P比説、水温説、pH説など。)このため、水質、物質循環の観点から検討した結果、魚がいるとリンが糞などにより底泥に移行し、水中のリン濃度が大幅に低下して、その結果ラン藻が優占しやすい環境となることか明らかになった。
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