研究概要 |
(1) 水草の池沼水質に及ぼす影響に関する研究 広島県の賀茂台地にある20の農業用ため池を対象に、水質(有機物、栄養塩、植物プランクトン量など)、底質(表層について粒度組成、有機物含量)、水草(種類と被度)、流域特性(土地利用区分、人口、家畜数など)、親水性(再帰度)などを定期的に調査した。栄養塩濃度は流域特性によって(原単位法とVollenweider型のモデル式を用いた解析)、水草のあるなしはため池の大きさ、深さによって、水草の種類は栄養塩濃度によって(栄養塩が低いとジュンサイ、高いとひし)、植物プランクトン、有機物といった水質、底質の粒度構成等は栄養塩濃度、滞留時間、水草の種類によって(栄養塩濃度と滞留時間がわかると水草なしの池の植物プランクトン量がかなり正確に予測される。水草ありの池ではこの濃度の数分の1となる)、影響を受けることが明らかとなった。今後、水草の管理による水環境管理の方向性を議論する。 (2) 生物活性の連続測定方法に関する研究 透明、不透明な箱中(20x20x20cm)にDO,pH,水温センサーを取り付け、内部の水を適当な間隔で入れ替え、水域での一次生産、呼吸速度を測定する明暗箱法の測定結果の解析を行った。この方法を富栄養湖、中栄養の海域に適用した結果から、本法は数日スケールで光合成、呼吸速度が推定可能で、またDOとCO2の変化比(MQ)を連続的にモニターできることを示した。今後、実水域での応用が期待される。
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