研究課題/領域番号 |
08680564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
福山 力 国立環境研究所, 大気圏環境部, 室長 (90011642)
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研究分担者 |
太田 幸雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00100058)
村野 健太郎 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究官 (40109905)
内山 政弘 国立環境研究所, 大気圏環境部, 主任研究員 (20160294)
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キーワード | 雲化学 / 立坑実験 / 人工雲生成 / 雲粒径 / 熱線式水滴径測定装置 / 雲粒内反応 / 二酸化硫黄の酸化反応 |
研究概要 |
平成8年9月に釜石鉱山において行った人工雲への二酸化硫黄放出実験結果を解析し、二酸化硫黄の雲化学過程に関する次のような知見を得た。二酸化硫黄濃度の鉛直方向減衰率は雲底より上で明白に増加することが認められた。また、雲水を採取してS(IV)濃度を測定したところ、雲粒のpH〜6という条件で二酸化硫黄が気液平衡にあると考えた場合の濃度と一致した。これらの結果より、雲粒の生成とともに気相の二酸化硫黄はすみやかに雲へ取り込まれて平衡量まで水滴に移行することが判った。実際雲粒の平均径を10μmとして、最も速く平衡に達するまでの時間を見積もると約30秒となるが、これは上昇気流速度を考慮すると雲底上30mに相当し実測結果とほぼ一致する。一方、雲水に含まれるS(IV)とS(VI)濃度の比は、観測高度すなわち反応時間にほとんど依存せずほぼ一定であった。このことから水滴内の熱反応による二酸化硫黄の酸化はこの実験の時間スケール(約10分)に比べて遅いことが結論される。また、坑頂で観測した雲粒の濃度と粒径分布は激しく変動するのが認められ、レーザーレーダーによる雲底高度の変動(昨年度既報告)と併せて考えると、坑内の温度、湿度、風速が極めて安定しているにもかかわらず、雲生成過程には大きな揺動が生じていることが判明し、雲の生成過程そのものに既成の考え方では十分理解できない側面があることが示された。そこて平成9年11月9日〜15日の期間、主として水蒸気→水滴の相変化過程を調べる目的で再度実験を行った。この実験では、雲核となり得る塩化ナトリウムや塩化リチウムの水溶液を坑底で噴霧し、雲粒濃度および雲粒径に及ぼす影響を坑頂で観測した。その結果、上記の無機塩噴霧により雲粒濃度が著しく増加し、また粒径分布は大粒径側に向かって長い裾が伸びることが認められ、定量的解析により凝縮速度に関する知見が得られることが判った。
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