研究課題/領域番号 |
08680564
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
福山 力 国立環境研究所, 大気圏環境部, 室長 (90011642)
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研究分担者 |
太田 幸雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00100058)
村野 健太郎 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究官 (40109905)
内山 政弘 国立環境研究所, 大気圏環境部, 主任研究員 (20160294)
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キーワード | 雲化学 / 立坑実験 / 人工雲生成 / 雲粒径 / 熱線式水滴径測定装置 / 雲粒内反応 / 二酸化硫黄の酸化反応 |
研究概要 |
二酸化硫黄の雲化学的酸化反応においては、雲粒という反応場そのものの生成過程が重要な因子である。この過程を調べるため、平成10年11月24日〜28日の期間、坑底におけるエアロゾル噴霧を中心とした実験を行なった。前年の実験の再現性を検証する目的で、前年と同様硫酸アンモニウム、食塩および塩化リチウム粒子を用い、前年より低い濃度で噴霧して坑頂において雲粒の個数と粒径分布の変化を観測した。その結果、a)無機塩粒子の噴霧により雲粒の個数濃度が増加し、同時に粒径分布は大粒径側に裾が伸びること、しかし、b)粒径の最頻値はほぼ7μmで一定であること、C)塩の種類の違いは雲粒の生成にほとんど影響を持たないこと、について再現性ある結果が得られた。また今回はとくに、噴霧液にポリオキシエチレンアルキルエーテルを主成分とする界面活性剤を加えて凝結核から雲粒への成長過程に及ぼす表面張力の影響を調べた。界面活性剤添加により表面張力は事実上0となり、ケルビン効果は消失してラウール効果のみが発現するはずである。したがって、水蒸気凝結に関する立坑壁と凝結核の間の競争は後者に有利となり、雲水量が増加するものと予想される。しかし実際は、界面活性剤を添加しても雲粒の個数、粒径に有意な違いは現れなかった。この結果は塩の種類が影響しないことと整合しており、雲粒生成過程におけるケルビン効果の役割は小さいことが示唆される。さらに、無機塩噴霧の効果を精密に調べたところ、坑底での噴霧開始時刻から坑頂で儂数濃度増加が認められるまでの時間は雲粒の径が大きいほど大きく、しかもその「時間遅れ」は重力沈降で説明できる程度を上回ることがわかった。この時間遅れの解析から雲粒径の成長速度を見積もることが出来て、0.8μm/分という値が得られた。
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