研究課題/領域番号 |
08680571
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江島 洋介 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (50127057)
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研究分担者 |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
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キーワード | AT(アタキシア・テランジェクタシア) / ATM遺伝子 / 放射線ハイブリド / ヒト11番染色体 / 11q22-23領域 |
研究概要 |
AT(アタキシア・テランジェクタシア)は放射線高感受性のヒト遺伝病であり、原因遺伝子はヒト11番染色体上にある。染色体11q22-23領域からATの原因遺伝子として単離されたATM遺伝子について、この遺伝子が放射線感受性遺伝子としての特性を有するのかどうかを実験的に検討することを目的とした。ATMを含む5メガベース(Mb)の領域内に0.6-1Mbの間隔で異なる切断点をもったヒト11q22-23染色体断片をもつ5系の放射線ハイブリドクローンのAT相補活性を解析する方法を用いた。以下の結果が得られた。 1)供与細胞のうちATM遺伝子を含むM3.6とATMを含まないM12.5から、遺伝的相補性群A群及びC群に属するTAT3BIとTAT5BIに遺伝子導入を行った場合の結果が得られた。 2)M3.6を導入した場合には、両細胞株とも放射線抵抗性を獲得し、相補遺伝子がM3.6断片上(GRIA4からD11S351間)に座位することを示し、ATMがその相補遺伝子である可能性高い。 3)M12.5を導入した場合、両細胞株において放射線抵抗性を獲得したクローンとそうでないものの両方が観察された。マイクロサテライト座位の多型から、抵抗性株に含まれるヒト染色体断片はATMより500bpテロメア倚りのD11S1818を共通に含んでいた。しかし抵抗性株においてはマウスDNAの同時導入もみられ、なんらかのマウス遺伝子がこの抵抗性に関係する可能性も否定できない。以上、ヒト11番染色体上の放射線感受性遺伝子の位置はATM領域とほぼ一致する知見を得たが、例外クローンについては、これがATM以外のヒト遺伝子かマウス由来の遺伝子かを確定する予定である。なお購入したミニウエスタンブロットシステムはATM蛋白動態の解析に用いた。
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