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1997 年度 実績報告書

酸性化した生態系水圏内におけるアルミニウムイオンと有機配位子との相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 08680579
研究機関九州大学

研究代表者

横山 拓史  九州大学, 理学部, 助教授 (20136419)

研究分担者 野田 香織  弘前大学, 理学部, 助教授 (10281198)
キーワードアルミニウム / 毒性 / 酸性雨 / 土壌の酸性化 / 水圏 / フミン酸 / フルボ酸 / 官能基
研究概要

酸性雨による土壌の酸性化が進行すると,土壌間隙水や地下水中に毒性の強いアルミニウムイオンが溶出し,森林水圏の生態系に重要な影響を及ぼすことが懸念されている。一方,森林水圏系に溶出したアルミニウムイオンはフルボ酸やフミン酸などの有機配位子と錯体を生成する。毒性の面からは,アルミニウムイオンと比べてこれらの錯体の毒性は極めて弱いことが知られている。また,アルミニウムの環境動態の面からは溶存有機物と錯生成することで移動しやすくなる。しかし,不溶性のフミン酸に結合すれば難移動性となる。このような観点から本プロジェクトでは,(1)溶存錯体の生成に関して一連の脂肪族及び芳香族カルボン酸とアミノカルボン酸との溶液内相互作用,(2)不溶性フミン物質への結合モデル系として,キレート樹脂,イオン交換樹脂に結合したアルミニウムについて研究した。
(1)については,酸性条件下でアルミニウムイオンは単座配位子とは強い相互作用はせず,2座配位子とキレート錯体を生成した。その安定性は5員環のものが最も安定で員数が増加するにつれて急激に安定性は減少した。酸性条件下でのアルミニウムイオンと有機配位子の錯生成はキレート効果に大きく影響されると結論できる。また,アルミニウム-有機物ーリン酸塩三元錯体がアルミニウムやリン酸イオンの水圏における移動に重要な役割を果たすことが示唆された。
(2)については,アルミニウムイオンはイミノジ酢酸基やカルボキシル基が官能基の樹脂にpH3でも効率よく吸着された。MASNMRスペクトルの測定から,吸着したアルミニウムイオンは単座及び2座の錯体として存在することがわかった。さらに樹脂骨格のベンゼン環から環電流効果を受け,高磁場シフトするアルミニウムが存在することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 横山拓史: "^<27>Al and ^<31>P NMR study on the formation of Al-NTA-(phosphate)_n(n=1or2)complexes in aqueous solution" Analytical Science. (印刷中). (1998)

  • [文献書誌] 広城吉成: "陽イオン交換容量の空間分布を考慮した不撹乱土壌中の陽イオン輸送解析" 土木学会論文集. No.579. 15-27 (1997)

  • [文献書誌] 横山拓史: "^<13>C and ^<27>Al NMR study on the interaction in acidic aquecus solution between aluminium ion and tiron,salicylic acid,and phthalic acid:as model compounds with functional groups" Analytical Science. 13. 425-428 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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