研究概要 |
1.内皮細胞から産生されたNOのディーゼル排気微粒子(DEP)による消去の機構として,DEPから産生されたSuperoxideと内皮から産生されたNOが反応しPeroxynitriteが生成しNOが消去されることが考えられた.そこでPeroxynitriteの測定法について検討を行った.その結果Luminolの化学発光法により96well multiplateを用い,Peroxynitriteの測定が可能になった.今後DEPと内皮細胞から生成したNOからPeroxynitriteが生成するかを明らかにする.またPeroxynitriteは肺胞内でマクロファージから産生されたNOとDEP由来のSuperoxideからも生成ることが考えらる.そこで肺胞マクロファージがDEPを貪食することで,Peroxynitriteが生成するかについても検討する. 2. DEPをラットに1または2mg/kg, 1日おきに10回経気道投与した.肺胞洗浄液中(BALF)の総細胞数はDEP投与により有意に増大し,1mg/kgで対照の1.4倍,2mg/kgで2倍になった.BALF中の細胞分布は対照では98%以上がマクロファージであったのに対し,DEP投与によりマクロファージの割合が減少し,好中球の割合が増加した.特にDEP 2mg/kg投与群では好中球の割合は30%に達した.さらにリンパ球,好酸球が増加する傾向が認められた.BALF中のタンパク質量はDEP濃度依存的に増大し,DEP 2mg/kg投与では,対照の約2倍と有意に増加していた.以上の結果から,DEPの経気道投与により肺での炎症が惹起されることが明らかになった.また血清より超遠心法で低密度リポタンパク質(LDL)を分離し、アポBタンパク(Apo B)の断片化を指標としてLDLの変性度を調べた.Apo B量はDEP投与により濃度依存的に減少する傾向を示し,DEPによりLDLが変性を受けている可能性があることを示唆した.
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