実績報告書(平成8年度) 黄色系着色料として天然品5種「カロチン、クルクミン、ベニバナ、クチナシ、紅麹)、合成品2種(黄色4号、5号)について、それぞれの通常使用濃度での細胞レベルにおける生体影響をウサギ洗浄血小板を用いて検討した結果、同時添加の場合にはA-23187刺激によるトロンボキサンB_2(TXB_2)産生に対しては用いたすべての色素が抑制作用を示した。トロンビン刺激に対しては天然品の方が強い抑制作用を示した。前処置実験の結果からは、黄色4号および紅麹以外の色素によるTXB_2産生抑制が不可逆的であることが明かとなった。また、各着色料添加飲料水摂取実験結果より、合成着色料が両刺激剤に対する血小板応答を抑制することが明かとなった。 次に、食品添加物としては厳しい使用制限が設けられている保存料について天然品(ヒノキチオール)および合成品5種(デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ブチル)を用い、それぞれのADIレベルの濃度において上記と同様の検討を行なった。その結果、同時添加時にはトロンビン刺激に対する強いTXB_2産生抑制作用が観察された。パラオキシ安息香酸ブチルにおいては、両刺激剤に対する特に強い抑制作用がみられた。前処置実験においてはパラオキシ安息香酸ブチルを除き抑制作用が可逆的であることが示唆された。また、凝集反応を抑制する化合物においては、TXB_2産生も抑制される傾向が観察された。
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