初年度は、東京都内の都市部から近隣県の郊外にかけて、低標高の地域の湧水、湧水流の現地調査を行い湧水に生息する水生無脊椎動物群衆の把握を行うことを最大の目標とした。これまで東京都環境保全局が作成した「東京都湧水分布台帳」と水系図を使いこれまで東京都下だけでも75地点の生物相調査を完了した。調査が完了した75地点については、底生動物だけでなく水質、底質分布、流速、流量や周囲の土地利用などの環境要因についても計測を行った。その結果、底生動物群集の多様度は、底質、流速などの水理環境の多様さと正の相関があり、硝酸態窒素濃度と一山型の相関関係を示した。また群集構造の規定因子としても、これらの要因によりところが大きかった。 次年度からは、(1)調査範囲を東京都以外の周辺地域に広げること、(2)今年度より導入したマレーズトラップや画像解析システムを使い、より正確でかつ独創的な研究の展開に着手したいと考えている。
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