本年度は、3年間の研究事業の最終年度にあたる。本年度は、解析を中心とした作業を行った。これまでの調査で得られた材料の標本整理を集中して行い、同定作業を進めた。これまでの一連の研究で(1)東京都内から近隣県の郊外にかけて低標高地の湧水、湧水流の現地調査から湧水に生息する水生無脊椎動物群集の生息状況を明らかにした。(2)水生生物の群集構造によって湧水流を分類し、低地湧水の環境評価を行た。(3)水生生物の分布を規定した環境要因について調査を行い、湧水の水質や水量を中心に水生植物群落、湧水周辺の植生や河床を構成する底質といった生物要因を重視した生息環境の環境構造の多様性と生物相の多様性との相関を調べた。(4)湧水と人間活動がどのような変遷をたどってきたのか検討し都市化と湧水の自然環境を総合的に考察した。
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