研究概要 |
リスクアセスメントやライフサイクルアセスメントなどの従来の環境評価手法を,最終処分場周辺における廃棄物からの有害物質汚染のような地域環境問題へ適用するべく,プラスチックや建築物,一般廃棄物焼却灰,廃車再生残渣を対象事例として,処分場周辺リスクや廃棄物の処理処分過程における環境負荷の同定ならびに定量化を試み,ライフサイクル的視点からの環境負荷の整理・類型化および個々の環境負荷に起因する環境インパクトの予測を行った。特に従来のライフサイクルアセスメントにおける事例研究でデータの質量ともに不十分であった廃棄物負荷として,プラスチックや廃車再生残渣,都市ごみ処理残渣などに対する既存の生産消費廃棄システムにおける各種環境負荷の同定を試みた。 高月は,都市ごみ焼却炉への微量有害物質の流入及び排出について検討し,現在の廃棄物処理段階での有害物質の挙動を把握するとともに,現在の処理段階での環境影響,廃棄物負荷の定量化を行った。酒井は,廃車再生残渣からの重金属及び残留性微量有害物質の性状分析,溶出挙動,環境移動を促進する条件などを検討する事で,最終処分場におけるリスク管理のあり方について考察した。水谷は,薬剤処理などにより安定化された廃棄物からの重金属などの無機系有害物質に対する環境動態を調査し,その最大負荷量を調べることを通じて,その適正把握のための試験方法の検討を行った。 来年度以降,本年までに得られた知見を元に,適切な廃棄物処理・処分方法を提案した上で,クローズドループ型およびオープンループ型のリサイクルに廃棄オプションを加え,廃棄物処理処分の段階までも考慮したライフサイクルアセスメントを試みる予定である。
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