研究概要 |
廃棄物に由来する環境負荷と廃棄物の保管・処理・処分過程での環境リスクの定量化を通じて,最終処分場周辺における有害物質汚染のような地域環境問題への適用を考慮した総合的環境評価手法を模索した。特に廃棄物に由来する環境負荷について,一般廃棄物(都市ごみ)を題材とし,廃棄物処理・処分段階におけるCO_2(炭酸ガス)の排出量を定量化した。 都市ごみの細組成調査の結果に基づいて,ごみを紙製品,厨芥類,木草,繊維,プラスチック,金属,ガラス,不燃物の8成分に分類した。そして,それらの廃棄前の製品としての製造エネルギーを推定した。この過程では,原料製造段階,加工段階,輸送段階,生産エネルギー等を考慮した。これらを組成比に応じて積算することにより,都市ごみの製品としての製造エネルギーを計算し,この値を元にして,都市ごみ中の製品の製造時に排出されるCO_2量を推定した。次に,都市ごみを焼却処理した場合のCO_2排出量を,組成比に準じて算出した。これら,製品としての製造エネルギーと焼却処理にかかる都市ごみのCO_2を合計して,都市ごみのCO_2排出量の原単位として,湿ベース,炭素換算で,0.86g-C/gが得られた。 さらに,この値とわが国の都市ごみ発生量から年間の都市ごみに伴うCO_2発生量は,4.3×10^7-C/年と計算された。この値は,わが国の年間総CO_2排出量の12.5%を占めており,製品のライフサイクルを考慮した場合に,廃棄物としての処理段階が無視できないことが示された。今後,さらに地域的な環境影響評価への適用を進めていきたいと考えている。
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