研究概要 |
種々の製品の環境影響を評価する手法として注目されているライフサイクルアセスメントにおいて,従来はリサイクル,廃棄,処分の工程に関するデータがほとんど整備されていなかったことに着目し,リサイクルを含めた廃棄物の処理処分過程における環境負荷の同定ならびに定量化を行うとともに,それらを考慮したライフサイクルアセスメントを実施した。 まず,従来データのほとんどなかったごみ処理段階の環境影響の定量化を試みた。都市ごみの処理プロセスのシナリオとして,ごみの発生抑制,容器包装物のリサイクル,ごみ発電によるエネルギー回収を設定し,環境影響をCO_2の発生量にもとづいて可能な限り定量化した。その結果,ごみ処理方法によってCO_2の排出量に大きな差が生じること,廃棄物として取り扱われていない二次製品を含めたマテリアルフローの解析が必要であることが分かった。 これを受けて,リサイクル工程が確立されており,またその情報の入手が比較的容易な鉄産業に着目し,鉄のマテリアルフローに関する調査と,リサイクル工程に伴う環境影響の定量化を行った。その結果,社会における蓄積量やリサイクルするまでに要する期間などの影響が大きいことが示された。 さらに、キャップやラミネート処理などの付属品をも含めた飲料容器(PETボトル,リターナブルびん,ワンウェイびん,アルミ缶,スチール缶,紙パック)を,リュース(再使用),クローズドループ型およびオープンループ型のリサイクルをした場合のライフサイクルアセスメント解析を行った。その結果,従来はあまり考慮されていなかった付属品の環境影響が比較的大きいことなどが示された。しかし,解析に用いることの出来る情報が限られており,製品ごとに異なる情報源からのデータを用いていることから,同一製品でないものの比較は困難な部分があり,今後更なる検討が求められた。
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