1996 年度実績報告書

電気浸透による土壌汚染物質除去とそのモデル化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号	08680606
研究種目	基盤研究(C)
研究機関	大阪大学
研究代表者	平田雄志大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90029512)
研究分担者	山端景子大阪大学, 基礎工学部, 助手 (70273612) 芝定孝大阪大学, 基礎工学部, 助手 (40026274) 瀬野忠愛静岡大学, 工学部, 助教授 (60135241)
キーワード	土壌汚染 / 電気浸透流 / 現場処理 / アッシド・フロント / 吸脱着 / 一次元カラム実験 / 数式モデル / 数値シュミレーション
研究概要	【一次元カラム実験】汚染物質として銅を吸着させたカオリナイト(模擬土壌)をアクリル製円筒(一次元カラム)に充填し、両端に陽極槽と陰極槽を設置し電圧を印加する事により除去実験を行った。測定項目は、カラム内電極間でのpH分布の経時変化と陰極液中の銅イオン累加量の経時変化である。初期に一様であったカラム内のpH分布は、陽極側のpHが低下し、それが時間の経過とともに陰極へ向かう様な変化となり、acid frontの進行が確認された。acid frontが陽極より陰極へと進行する事により、カオリナイト表面に吸着された銅イオンが水素イオンに交換され、したがって、銅イオンが間隙水中に溶解し、陰極槽へと輸送されている事が予想される。同時に、陰極槽中の銅イオン量の経時変化を求めたところ予想通り、銅イオンはカオリナイト表面から脱離し、陰極に輸送される事が確認された。また、除去速度は徐々に低下する事がわかった。【回分吸着実験】支配方程式中の遅延係数(Retardation Factor)をカオリナイト銅系について求める回分吸着実験も行った。その結果、銅イオン-カオリナイトの交換(吸着)等温線は非線形となる事がわかった。【モデルの組み立てと数値シミュレーション】実験と並行して土壌間隙水中の汚染物質濃度を予測するモデルを組み立てた。モデルは土壌間隙水に対する拡散方程式を基礎に、土壌への吸脱着反応、液相反応、電気浸透流、電気泳動の項を加味したものである。モデルを用いて汚染物質の例として酢酸(有機物)と鉛イオン(重金属)について数値シミュレーションを行った。酢酸の方は電気泳動による除去効果は確認されたが、pH分布の経時変化からはacid frontではなくbase frontの進行が認められたので、現在検討中である。鉛イオンの方はpH分布の経時変化から判断して、acid frontをシミュレートできたと考えられる。濃度分布より、鉛イオンは陽極付近では、ほぼ除去されてしまうが、陰極の手前で初期濃度よりも高濃度の鉛イオンの蓄積される事がわかった。

研究成果

(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] 芝定孝・平田雄志・瀬野忠愛・山端景子・矢野正: "電場が土壌および間隙水中の汚染物質移動に及ぼす効果" 環境科学会1996年会講演要旨集. 162-163 (1996)
[文献書誌] 瀬野忠愛・平田雄志・芝定孝・矢野正: "電気浸透法による汚染土壌の改質の数値解析" 化学工学会盛岡大会研究発表講演要旨集. 43- (1996)
[文献書誌] 平田雄志・芝定孝・矢野正・澤田伸一・瀬野忠愛: "界面動電現象を利用した汚染土壌の改質に関する基礎研究" 化学工学会第61回年会研究発表講演要旨集. 第3分冊. 47- (1996)
[文献書誌] S.Shiba,Y.Hirata,T.Seno,K.Yamaberi,and T.Yano: "In Situ Electrokinetic Remediation of Chemically Contaminated Aquifer" Proc.Int.Conf.on Water Resour.&Environ,Res.II. 383-390 (1996)
[文献書誌] S.Shiba,Y.Hirata,K.Yamaberi,T.Yano,and T.Seno: "In Situ Electrokinetic Decontamination of Soil and Water" Int.Symposium on Enguneering Geology and Environment. (in press). (1997)
[文献書誌] 金田直樹・瀬野忠愛・平田雄志・芝定孝: "電場土壌中の重金属の移流分散シミュレーション" 化学工学会第62回年会研究発表講演要旨集. (in press). (1997)
[文献書誌] 矢野正・芝定孝・平田雄志・瀬野忠愛: "界面動電土壌処理における重金属イオンの土壌内輸送機構(in press)" 化学工学会第62回年会研究発表講演要旨集. (1997)

1996 年度 実績報告書

電気浸透による土壌汚染物質除去とそのモデル化に関する研究

研究代表者

平田 雄志 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90029512)

研究成果

[文献書誌] 芝定孝・平田雄志・瀬野忠愛・山端景子・矢野正: "電場が土壌および間隙水中の汚染物質移動に及ぼす効果" 環境科学会1996年会講演要旨集. 162-163 (1996)

[文献書誌] 瀬野忠愛・平田雄志・芝定孝・矢野正: "電気浸透法による汚染土壌の改質の数値解析" 化学工学会盛岡大会研究発表講演要旨集. 43- (1996)

[文献書誌] 平田雄志・芝定孝・矢野正・澤田伸一・瀬野忠愛: "界面動電現象を利用した汚染土壌の改質に関する基礎研究" 化学工学会第61回年会研究発表講演要旨集. 第3分冊. 47- (1996)

[文献書誌] S.Shiba,Y.Hirata,T.Seno,K.Yamaberi,and T.Yano: "In Situ Electrokinetic Remediation of Chemically Contaminated Aquifer" Proc.Int.Conf.on Water Resour.&Environ,Res.II. 383-390 (1996)

[文献書誌] S.Shiba,Y.Hirata,K.Yamaberi,T.Yano,and T.Seno: "In Situ Electrokinetic Decontamination of Soil and Water" Int.Symposium on Enguneering Geology and Environment. (in press). (1997)

[文献書誌] 金田直樹・瀬野忠愛・平田雄志・芝定孝: "電場土壌中の重金属の移流分散シミュレーション" 化学工学会第62回年会研究発表講演要旨集. (in press). (1997)

[文献書誌] 矢野正・芝定孝・平田雄志・瀬野忠愛: "界面動電土壌処理における重金属イオンの土壌内輸送機構(in press)" 化学工学会第62回年会研究発表講演要旨集. (1997)

1996 年度実績報告書

平田雄志大阪大学, 基礎工学部, 教授 (90029512)