本年度は以下の3つを研究目的とした。 (1)都市下水を原水とした回分式実験による至適注薬と至適運転条件の検討 最初沈澱池越流水を原水とした。最初に濁度とTOCを指標として、PACとポリ鉄のpH変化に伴う処理性を調べ、PACとポリ鉄の至適pHはそれぞれ6〜8、5〜6であり、PACの方が原水のpH調製が不要であるので、ぽり鉄より優れている。至適条件は、PAC添加量が18mg/Al/l、カゼイン添加量が3.2mg/l、泡沫分離時間が5.6分、気液比が3.2.急速撹拌時間は4分であることが明らかとなった。この条件での、濁度、SS、大腸菌群数、およびP0_4-Pの除去率は97〜99%、TOCとBODの除去率は62〜65%、DOC除去率は72%(いずれのN=3)であった。 (2)都市下水を原水とした連続式実験による懸濁物質とTOCの除去能の検討 (1)の結果に基づいてパイロットプラントを構築した。そのシステムは(1)定位水槽、(2)PAC添加-急速撹拌槽、(3)カゼイン添加装置、(4)泡沫分離槽平均滞留時間(3〜5分)、および吸気自吸式アレーターの回転数(周波数:40〜70Hz)を変量として、これらの至適条件を求めた。至適条件はPAC添加量は15ml Al/l、カゼイン添加量は5mg/l、平均滞留時間は5分、周波数は60Hzであった。この条件における除去率は、濁度では85%、大腸菌群数とPO_4-Pでは96%、BODとTOCでは50〜60%であった。回分式実験よりも除去率が低い理由は、泡沫分離槽への流入口と流出口の位置と安定泡沫の分離システムを改良する必要性がわかった。 海藻(ノリ)の初期発生段階に対する泡沫分離処理による下水の毒性軽減効果の検討 本年度はこの研究の予備的実験までしか進むことができなかったが、(1)の検討結果のほか、界面活性剤などがほぼ完全に除去できるので、相当の毒性軽減効果を期待できると考えられる。
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