鹿児島湾の上空300mを飛行する小型航空機の窓から、35mm一眼レフカメラとブロニ-版中型カメラならびにVTRカメラを用いて、海岸線を連続的に撮影し、その映像を比較検討した結果、ブロニ-版中型カメラを用いることによって、沿岸浅海域の海藻群落が鮮明に撮影されることが分かった。 この画像をスキャナーでMacintosh Performa5210コンピュータに取り込み、画像解析ソフトAdobe photoshop LE-J と NIH Image 1.59/PPCを用いることによって、海面に浮かび上がった褐藻ホンダワラ類(Sargassum)の群生する藻場の被度面積を計算することができた。つまり、海藻の現存量が一年のうちで最大となる春の大潮干潮時に空中撮影を行うことによって、普段は海中に没し潜水によらなければ見ることのできない藻場の面積を容易に測量できることが確かめられた。また、鹿児島湾内の典型的な藻場四箇所(神瀬、磯脇、矢筈島、岩本)については実際に潜水による測量を試み、藻場の面積を実測し、空撮のデータと一致することを確かめた。 この手法を用いて、1996年6月における鹿児島湾内全域の藻場面積を測定したところ、322haと計算された。この値を、1978年に鹿児島県水産試験場の調査比較したところ、鹿児島湾ではこの18年間にホンダワラの藻場面積が47ha減少しておりその傾向は大隅半島側で著しいことが分かった。
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