研究概要 |
初年度の成果を列挙すると以下のようになる。 (1) 衛星画像は、サンゴ礁地形を概観する優れた手段で、琉球列島でみられる比較的規模の小さいサンゴ礁でさえ、分布状態や連続性を広範囲にわたって観察できる。 (2) 光学センサは、可視域から赤外域までの光を幾つにも分割して観測する。陸域ではこれらを組み合わせて植物の活性度を調べるのだが、サンゴや海藻・海草の観測では海水に吸収されるため赤外域の光が使えない。また、解像度が数十mであることも、空中写真にくらべ著しく不利な点である。 (3) ランドサットTMのバンド3,2,1にRGBを割り当てたトゥル-カラー画像を作成すると、画像は、水深10m程度までのサンゴ礁が薄い青色で見えるように処理される。これらを見ると、広範囲を一度で見渡せるというリモートセンシングの特徴を利用してサンゴ礁地形の比較が容易になる。 (4) サンゴ礁地域の環境監査 世界各地で、陸域の開発行為に伴うサンゴ礁の環境悪化が急速に進行している。このような地域では、サンゴの活性度や分布域の変化、流出土壌による浅海域の汚濁、陸域の土地被覆変化や土壌侵食の状態を継続的に調べる必要がある。その手段として、リモートセンシングはきわめて有効な技術である。 初年度はとりあえずマレーシア、タイの一部地域のMOS-1画像を処理しその概要を捉えることができた。 また、マングローブ林の分布や経時変化なども衛星リモートセンシングの対象となることがわかったので、初年度は予算の許す限り、東南アジアのサンゴ礁のデータを収集し分析する予定である。
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