1.タイ南部・マレー半島全域に自生するMitragyna speciosaの葉部はモルヒネ代用薬として用いられてきた。(1)マレーシア産植物につき詳細なアルカロイド検索を行い、4種の新規化合物を微量塩基として単離し、全合成やスペクトル解析によりその特異な構造を決定することができた。(2)種塩基Mitragynineの立体異性体である微量成分Paynantheineの不斉全合成研究を行い、新しいメソドロジーによるCorynanthe型アルカロイド合成法の確率と、光学活性Painantheine得るために必要な最終鍵化合物を合成できた。(3)モルヒネの20-50倍の鎮痛活性を示すことが明かとなったMitragynineの酸化型誘導体の作用機序について、より詳細な薬理学的研究が進められ、μ-およびδ-オピオイド受容体に高い親和性を有していることが明かとなった。 2.(1)キョウチクトウ科Hunteria zeylanicaより得られたサルパギン型新塩基類の合成法を確立するためのモデル実験を行ない、インドールアルカロイド生合成鍵共通中間体のGeissoschizineを、分子内ラジカル環化反応を鍵段階として全合成することができた。ここで開拓した合成ルートを参考にして、新規サルパギン型フンテリアアルカロイドの全合成研究を行った。(2)本植物より得られたCorymine型アルカロイドが中枢GABA受容体とGlycine受容体にたいして顕著な抑制作用を有することが見出された。今後、メカニズム解明のための分子プローブとしてより有用な誘導体を合成する計画である。 3.タイ北部に自生するアカネ科Naruclea orientaris含有成分について成分検索を行い2種の配糖体型インドールアルカロイドを含む9種の化合物を単離構造決定できた。
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