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1997 年度 実績報告書

サイクリン依存性キナーゼの基質認識構造に基づく拮抗阻害剤の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 08680634
研究機関佐賀医科大学

研究代表者

安藤 祥司  佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (20193104)

キーワードサイクリン依存性キナーゼ / 蛋白質リン酸化 / 基質特異性 / 酵素阻害剤
研究概要

サイクリン依存性キナーゼのなかで、細胞周期のG2期からM期への移行を制御するcdc2キナーゼと、脳に特異的に存在し細胞骨格の制御に働くと考えられるcdk5について、これら酵素の基質認識特異性を解析し、その結果を基に拮抗阻害剤を開発することを目的とする。これまでに、中間径フィラメント蛋白質であるビメンチン、デスミン、ニューロフィラメント蛋白質や、核蛋白質であるヒストンH1のリン酸化部位に由来するペプチドを合成し、ペプチドの構造と基質活性を検討した。なぜなら、良好な基質構造を検索し、その構造を一部改変することによって高活性な阻害剤が得られる可能性があるからである。本年度はcdc2キナーゼとcdk5に対する特異性を高めるために、両酵素の塩基性アミノ酸に対する認識機構の差異を系統的に検討した。また、阻害剤には種々の酵素分解による失活を防ぐ構造を付与する必要があり、この観点から上記蛋白質のリン酸化部位を含むレトロインバーソ型ペプチドのデザイン、合成を検討した。まず、塩基性アミノ酸に対する依存性の差異を探る目的で、ニューロフィラメント蛋白質のリン酸化部位のC末端側のリジン残基の数と位置を変化させたペプチドを合成し、リン酸化能を解析した。その結果、cdk5はcdc2キナーゼよりもリン酸化部位のC末端側のリジン残基を強く必要とし、特にC末端側3番目は必須で、さらにC末端側にリジン残基が存在するとリン酸化が向上することが示された。このようにcdc2キナーゼとcdk5を区別する手段の一つとして、塩基性アミノ酸に対する依存性の差異の利用が示唆された。一方、レトロインバーソ型ペプチドについて、まずヒストンのリン酸化部位を含む基質ペプチドの合成を企画した。このペプチドの合成には特殊な固相合成用樹脂が必要とされるが、今回はp-nitrophenylcarbonate Merrifield resinを採用した。しかし、樹脂にジペプチドを導入した後のアミドからアミンへの変換、プロリンおよびセリン残基の導入など、有機合成的な問題点が見い出された。現在、これら問題点を克服するために種々条件を検討中である。こうした成果は、新しいタイプのリン酸化基質および阻害剤の開発に有益な知見を与えることが考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Ando,S.: "Role of the pyrrolidine ring of proline in determining the substrate specificity of cdc2 kinase or cdk5" J.Biochem.122・2. 409-414 (1997)

  • [文献書誌] 安藤祥司: "タンパク質化学第6巻細胞骨格と筋肉のタンパク質:中間径フィラメント結合タンパク質" 広川書店, 6 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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