研究概要 |
本研究は,マクロファージに対して細胞死(アポトーシス)を引き起こすことが知られているL-Leu-L-Leu-OMeのCaged化合物を合成し、免疫細胞のアポトーシスを光により制御することを目的とする。 1 糖を修飾したCagedLeu-Leu-OMeの合成および光化学反応性 96年度には、PBSへの溶解性を高めるためにグルコースを修飾した5-O-(β-glucopyranosyl)-2-nitrobenzyl caged Leu-Leu-OMe 2aの合成をグルコースを出発原料として、9段階の反応でおこなった。2aのPBS-1%DMSOへの溶解は500μM以上であり、2a自体は細胞傷害性を持たず、しかも、光照射により効率よくHL60細胞にアポトーシスを誘発した。つぎに、96年度から97年度にかけて糖による細胞認識能を持たせることを期待してラクトース、ガラクトース、マンノースでo-ニトロベンジルを修飾したCagedLeu-Leu-OMe 2b-dを合成した。さらに、o-ニトロベンジルよりも光分解効率のよい2-ニトロフェネチル基に糖を修飾する方法を確立した5-O-(β-glucopyranosyl)-2-nitrophenethyl caged Leu-Leu-OMe3を合成した。3は350nm光の短時間照射により、最も効率よくHL60細胞のアポトーシスを誘発した。 2 ステロイド骨格を導入したCaged Leu-Leu-OMeの合成と光化学反応性 ケージド化合物をフォスファチジルセリンとジセチルフォスフェートとの混合物とリポソーム形成させるのも、マクロファージのような貪食細胞への取り込みの効率を高める方法として考えられる。そこで、ステロイド骨格を結合したo-ニトロベンジル基の合成法を確立、Caged Leu-Leu-OMe5合成し、リポソーム中での光照射をおこなった。
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