研究概要 |
われわれは、すでにSxl蛋白質について、二つのRBD(RBD1-RBD2)の協同作用によってRNA分子の配列認識が行われていることを明らかにし、さらに部位特異的変異をもちいることにより、構造解析可能な試料を作成し、NMR法によるRBD1,RBD2の高次構造解析に成功している。この結果RBD2は、通常のRBDと同じような高次構造を持つのに対して、RBD1は、RBDとしてのコンセンサス配列にあてはまらない高次構造をもつことが明らかになった。さらにSxl蛋白質の結合配列としてGU8C,を選び、安定同位体標識法を用いた解析から、2,3,6,7位にあるウリジンのイミノプロトンが特異的にSxl蛋白質のRBD1-RBD2に認識されていることを明らかにしている。また、予備的な結果ではあるが、GU8CおよびU5GUUGU8結合配列とSxl蛋白質のRBD1-RBD2との共結晶の作成を試み、そのX線結晶解析から解釈可能な電子密度像を得ている.この結晶解析からRBD1-RBD2の二つのドメインによって一本鎖のRNA分子が挟まれるように認識されていることが明かとなった. さらにSxl蛋白質と競合的に働きショウジョウバエの性決定に関与していると考えられるU2AF蛋白質についても構造決定を進めた.この蛋白質もRBDモチーフをタンデムに3つ持つ蛋白質であるが、クロスリンクの実験からN末端から二つのRBDが結合に重要であることを明らかにした. さらにこのRBD1についてNMR法による構造決定を行ったところ,従来考えられたものとは,異なる二次構造のアラインメントをもつことが明らかになった.
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