研究概要 |
[1]ヒトα-mannosidase II^x(α-MII^x)の基質特異性の解析 ヒトα-MII^xの基質特異性を検討するために、まず酵母をホストとして遺伝子組換え型α-MII^xを作成した。本酵素は合成基質mannopyranosideに対する活性を有し、スワンソニンで阻害されないことが判明し、Nグリカンの合成過程に関わる酵素を考える上で重要な酵素の一つであると考えられた。更に、基質としてピリジルアミノ(PA)化オリゴ糖(Glc-Man5-Glc-PA等)を用いて検討予定である。 [2]α-MII及びα-MII^xの蛋白レベルでの発現の解析 α-MII及びα-MII^xのcDNAを組み込んだ発現ベクターをCOS-1細胞に同時発現させ、これらの蛋白の細胞局在部位を蛍光免疫染色法にて同定した。この解析のために、新たにヒトα-MIIxの一部のペプチドを合成し、家兎に免疫し抗血清を得た。いずれの蛋白もmedian Golgiに局在することが判明した。 [3]ヒトα-MII^x遺伝子のプロモーター領域の解析 ヒトα-MII^x遺伝子のプロモーター領域を含む約40kbpのcosmidクローンを解析した。このクローンは1139個のアミノ酸からなるα-MII^x蛋白のうち396個のアミノ酸をコードする8つのエクソンを含んでいた。Primer extention assayにて、転写開始部位は翻訳開始部位から-70から-58のところに複数個存在した。転写開始部位近傍にはTATAあるいはCAAT boxはなく、GCrich部位が存在した。5'上流域の種々の断片をLuciferase vectorに組み込み、ヒト由来細胞にtransfectionし、プロモーター部位を解析したところ、-12から+11にプロモーター活性が認められ、-4300から-252にエンハンサー活性が認められた(Eur J Biochem,242:446-453,1996)。
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