研究概要 |
1.ヒトα-mannosidase II^x(α-MII^x)の基質特異性の解析 ヒトα-MII^xの基質特異性を検討するために、まず酵母をホストとして遺伝子組換え型α-MII^xを作成した。本酵素は合成基質mannopyranosideに対する活性を有し、スワンソニンで阻害されないことが判明し、Nグリカンの合成過程に関わる酵素の一つであると考えられた。更に、基質としてピリジルアミノ(PA)化オリゴ糖を用いて検討では、α-MII^xは、α-mannosidase II(α-MII)と異なる基質特異性を有することが示唆され、現在、この点に関して詳細に検討中である。 2.α-MII及びα-MII^xの蛋白レベルでの発現の解析 α-MII及びα-MII^xのcDNAを組み込んだ発現ベクターをCOS-1細胞に同時発現させ、これらの蛋白の細胞局在部位をα-MII及びα-MII^xに対する抗血清を用いて蛍光免疫染色法にて同定した。いずれの蛋白もmedian Golgiに局在することが判明した。 3.ヒトα-MII^x遺伝子のプロモーター領域の解析 ヒトα-MII^x遺伝子のプロモーター領域を含む約40kbpのcosmidクローンを解析した。このクローンは1139個のアミノ酸からなるα-MII^x蛋白のうち396個のアミノ酸をコードする8つのエクソンを含んでいた。転写開始点の5'領域にはTATA boxやCAAT boxを含まずGCに富み、6つのSplコンセンサス配列を持ち、house keeping geneの特徴を有した。5'上流域の種々の断片をLuciferase vectorに組み込み、ヒト由来細胞にtransfectionし、プロモーター部位を解析したところ、-12から+11にプロモーター活性が認められ、-4300から-252にエンハンサー活性が認められた(Eur J Biochem,242:446-453,1996)。更に、α-MII^x遺伝子の5'上流域にはインターフェロン、GM-CSF等に応答する転写因子結合部位が認められており、これら免疫性サイトカインにより実際にα-MII^x遺伝子プロモーターが働き得るか否かを検討予定している。
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