研究概要 |
1)インテグリンα3β1の精製:インテグリンα3鎖の細胞内ドメイン由来のペプチドを化学的に合成し、これを家兎に免疫して抗血清を得た。この抗血清よりIgGを精製し、これを不溶化したカラムを用いてヒト胎盤よりインテグリンα3β1を精製した。また、このインテグリン標品の活性を確認するため、α3β1の特異的なリガンドであるラミニン5(カリニン)をヒト胃癌細胞株MKN45の培養上清より精製した。ラミニン5の精製は、組換えラミニン5断片を家兎に免疫して調製した抗体を不溶化したカラムを用いて行った。精製ラミニン5および対照のラミニン1(すでにEHS腫瘍より精製済)、ラミニン2(市販品)をそれぞれ固相化した表面への精製インテグリンα3β1の結合を測定した結果、我々が精製したα3β1はラミニン5に特異的に結合することが確認された。 2)ファージディスプレーライブラリーのスクリーニング:精製α3β1を固相化したプレートを用いてランダムな15アミノ酸残基の配列を提示しているファージライブラリーを繰り返しスクリーニングし、選択的に濃縮される3種類のファージを分離した。これらのファージのDNA配列より、これらのファージはFGRIPSPLAYTYSFR(P1),LFTPFFSCHEFRCWD(P2),SNLRSWLFPFDRVGN(P3)の配列をそれぞれ提示していることが判明した。これらの配列の中で、P1はα6β1を用いたスクリーニングでも分離されたおり、α3β1とα6β1の共通の認識配列である可能性がある。現在、これらのペプチドの生理活性を測定するため、合成ペプチドを作成中である。
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