研究概要 |
1.筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseをアルギニン残基指向性試薬cyclohexanedione(CHD)を用いて修飾した。この修飾によるCa^<2+>-ATPaseの各部分反応の阻害と、それに対する各種基質(ATP、ADP、AMP)の保護効果を調べることにより、次のことを明らかにした。(1)Ca^<2+>-ATPaseのArg-489とArg-678は、触媒部位のATP結合部位のうち、ATPのαーリン酸基が占める領域またはそのごく近傍に位置している。(2)CHD修飾による酵素阻害に関与するアルギニン残基は、Arg-489またはArg-678(またはその両者)である(J.Biol.Chem.271,28933-28941,1996)。 2.筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseをヒスチジン残基指向性試薬diethyl pyrocarbonate(DEPC)を用いて修飾した。この修飾によるCa^<2+>-ATPaseの各部分反応の阻害と、それに対する各種基質の保護効果を調べることにより、Ca^<2+>-ATPaseのHis-5がリン酸化中間体の加水分解に関与していることを明らかにした(in preparation)。 3.上記の各種アミノ酸残基について、部位特異的変異による機能解析が現在進行中である。 4.筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseにおいて、リン酸化とFITC(fluorescein 5-isothiocyanate)結合のstoichiometryが0.5:1.0であることを明らかにした(J.Biol.Chem.272,6232-6251,1997)。
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