研究概要 |
(1)Pγリン酸化酵素(Pγ Kinase)について (1)酵素精製;Pγ Kinaseを次のような過程で精製を行なった。 ウシ桿体視細胞→Caを含む緩衝液で抽出→Mono Q→ゲルろ過(TSK-250)→Heparin-Sepharose→ATP-Agarose その結果、分子量70,000のモノマーであることが明らかとした。 (2)酵素の性質;視細胞に於いて情報伝達はRhodopsin Kinaseによるロドプシンのリン酸化によって終結することが明らかとなっている。Pγのリン酸化はGTP結合蛋白質の段階での情報伝達の終結と考えられる。このことより、Rhodopsin Kinaseの抗体がPγをリン酸化する酵素に交差するかどうかを検討すした。その結果,Rhodopsin Kinaseの抗体の添加によりPγ Kinaseは活性を失った。また、Rhodopsin KinaseのInhibitorであるSangivamycinを用いてPγ Kinaseへの影響を検討した。SangivamycinによりPγ Kinase活性は阻害された。これらの結果よりPγ KinaseはRhodopsin Kinaseである可能性が示唆された。 (2)Pγのリン酸化に影響を及ぼす因子 Ca結合蛋白質の影響;視細胞に於いて暗状態では細胞中Ca濃度は高い状態にある。しかし、この状態ではPγ Kinaseは働く必要がなく、逆に低濃度の時に作用しなければいけない。Pγ KinaseはCaによって抑制されることが明らかとなっている。これらのことよりCa結合蛋白質の関与が考えられ、このCa結合蛋白質による制御機構について検討した。その結果Pγ Kinaseは26kDaのCa結合蛋白質によって制御されていることを明らかにした。
|