研究課題/領域番号 |
08680700
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
野口 知雄 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30073688)
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研究分担者 |
櫻庭 春彦 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (90205823)
林 寿恵子 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (30047807)
藤原 智子 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (20047806)
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キーワード | 動物進化 / プリンの分解 / 尿酸の分解 / アラントイナーゼ / アラントイカ-ゼ / ウレイドグリコレートリアーゼ / カエル入gt11cDNA / ゼブラフィッシュ入gt11cDNA |
研究概要 |
プリン分解の最終産物は動物種により異なり、ヒト上科、新世界のサルでは尿酸、その他の霊長類や哺乳類ではアラントイン、魚類、両性類では尿素、さらに下等になるとアンモニアである。 このように動物のプリン分解は高等なほど不完全であり、進化の過程で尿酸以降の分解酵素群が脱落している。 Allantoinasc(ALN)とAllantoicase(ALC)は魚類では別個の酵素であるが、両生類になると両酵素は複合体を形成する様になり、さらに進化すると脱落する事を報告した。ALN-ALC複合体(ALNC)形成と脱落の機構を明らかにするための研究を行い、以下の実績を得た。 1.両生類ALNC複合体の内、ALNサブユニットの遺伝子解析を行った。抗カエルALN抗体を用いて、カエル肝臓gt11cDNAライブラリーをスクリーニングして単一クローンを得た。塩基配列を決定し、推定されるアミノ酸配列はカエル肝より精製したALNのアミノ酸配列と一致した。 2.ALN,ALCが異種蛋白として存在する魚類のALNは、生棲域によりその細胞内存在様式を異にしている。海棲魚類ではサイトゾールに存在するのに対し、淡水産では、ペルオキシソームにのみ存在している。最近我々は、魚類では、プリン分解の最終産物は尿素とグリオキシル酸であるが、このグリオキシル酸はプリン炭素の再利用の為にAlanine : glyoxylate transaminase(AGT)によってグリシンに変換されるが、この肝AGTがペルオシソームとミトコンドリアの両オルガネラに局在していること、淡水産と海棲魚類の間では、酵素の細胞内局在性が生棲域によって異なることを明らかにした。 3.抗イワシALN抗体を用いて、ゼブラフィッシュ入gt11cDNAライブラリーをスクリーニングし、クローンを得た。PCR反応を行って遺伝子を増幅した後、蛍光DNAシーケンサーで塩基配列を決定した。現在淡水産、海棲魚類のALNの塩基配列の相同性検索より、生棲環境の要因を検索中である。 4.また、最近、我々はラット肝に哺乳類には存在しないと思われていたUrcidoglycollate lyaseが存在すること、Kmの濃度を高める事によって,動物が高等なほど酵素活性を失っていく事を明らかにした。
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