研究概要 |
UDP-ガラクトース輸送体(UGT)、ポリアミン輸送体、Na^+/H^+アンチポーターについて次の研究成果を得た。 1.UDP-ガラクトース輸送体のクローニングと解析 マウスFM3A細胞の変異株Had-1細胞は、UDP-ガラクトース輸送体(UGT)を欠損する。我々は、この欠損の相補を指標として、alternative splicingにより生じた2種類の異なるcDNAを単離することに成功した。 UGTcDNAのHad-1細胞における発現実験を行ったところ、Had-1細胞中にはUGTタンパク質が検出されないこと、Had-1/UGT1細胞中にはUGT1産物、Had-1/UGT2細胞中にはUGT2産物がそれぞれ発現していることが明らかになった。免疫蛍光法による観察を行った結果、ヒトUGTタンパク質の分布は、ゴルジ装置のマーカーの分布とよい一致を示した。細胞分画によって得られるゴルジ膜小胞は、非特異的透過性を示さず輸送反応の解析に適した膜標品であることも明らかになった。以上の結果に基づいて、UGT1,UGT2はUDP-Gal輸送体の本体であると結論した。また、酵母中でヒトUGTを発現させた。 2.ポリアミン輸送系の検討 側底膜と頂端膜に分化した単層シートを形成させた腎尿細管由来のLLC-PK1細胞を用いて、ジアセチルポリアミンの輸送系について検討を行った。遊離ポリアミンの取り込みに関して、この細胞は側底膜側に1種類、頂端膜側には高親和性および低親和性の2種類のポリアミン輸送系をもつことが明らかになった。モノアセチルポリアミンが遊離ポリアミンの輸送系を経由して実際に細胞内に取り込まれることが示された。これに対してジアセチルスペルミンはSpdの取り込みと競合しないだけでなく、頂端膜側からは全く細胞内に取り込まれないことが明らかになった。血液中のポリアミンの動態について検討した結果、ウサギ赤血球には、スペルミン、スペルミジン特異適輸送系が存在すると考えられる。 3.Na^+/H^+アンチポーター ウシ肝臓の上皮組織におけるNa^+/H^+(NHE)の局在性について、NHE1,NHE3 isoformに対するペプチド抗体を要いて検討したところ、NHE1は側底膜に、NHE3は刷子縁膜に局在することが明らかになった。
|