研究概要 |
1.シナプス前末端内Ca^<2+>イメージング Ca^<2+>感受性蛍光色素であるIndo-1,Fura-2,Greenをカエル及びイセエビの神経筋シナプス前末端に負荷して末端内Ca^<2+>動態の測定を行っている。カエルの場合、100Hz刺激では20発程度の刺激後はCa^<2+>流入と排出/取り込みがほぼバランスして末端内Ca^<2+>濃度がプラトーに達すること、刺激終了後は50msec程度の速い時定数でCa^<2+>濃度が減少してゆき大部分のCa^<2+>が0.2秒以内に排出/取り込みされることなどから、かなり強力なCa^<2+>排出/取り込み機構が存在することが解った。イセエビの場合は、Ca^<2+>は秒オーダーでゆっくり排出/取り込みされること、シナプスボタン内及びボタン間でCa^<2+>動態が異なること等が解った。 2.短期可塑性と前末端内Ca^<2+>との関係 Ca^<2+>キレート剤であるBAPTAやEGTAを前末端に負荷して短期可塑性がどのように影響を受けるかを電気生理学的に測定している。BAPTAは速い促通に対して、EGTAは遅い促通に対してより大きな減少効果を持つことが解った。 3.シナプス前末端内Ca^<2+>動態のコンピューターシミュレーション 放出部位付近のCa^<2+>濃度を直接的に反映していると考えられる電気生理の実験データと、末端内の空間平均を見ている蛍光によるCa^<2+>測定のデータとを突き合わせるためにカエルのシナプスをモデル化してコンピューターシミュレーションを行っている。電気生理のデータを説明するためにはCa^<2+>チャンネルと放出装置のCa^<2+>センサーとは80nm程度離れていることが必要なこと。BAPTAとEGTAのキネティクスの速さの違いによりこれらのCa^<2+>キレーターの放出部位付近の速い過渡的Ca^<2+>濃度変化に対する影響が異なり、これで電気生理の結果が説明できること。細胞内オルガネラへのCa^<2+>の取り込みの寄与がかなり大きいこと。等が解った。
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