研究概要 |
クロマフィン小胞膜に存在するシトクロムb561のcDNAクローニングと機能活性部位の解析 副腎髄質クロマフィン小胞や神経内分泌小胞に存在する膜貫通型タンパク質シトクロムb_<561>は細胞質側のアスコルビン酸から電子を受け取り、小胞内に存在しているdopamine β-hydroxylase或いはpeptidylglycine α-amidating enzymeに電子を供与している電子伝達体である。シトクロムb_<561>はその一次構造、電子伝達のメカニズム、神経内分泌小胞膜に存在するといった点で他のシトクロムとは非常に異なっている。このシトクロムのヘム活性中心の構造を明らかにするため、cDNA遺伝子のクローニングを行い、さらにウシ副腎髄質クロマフィン小胞よりシトクロムb_<561>を高純度に精製しEPRによる解析を行った。(a)シトクロムb_<561> cDNA塩基配列よりアミノ酸一次構造を比較・検討した。細胞質側と小胞膜内側に相当する領域にそれぞれ1箇所ずつ非常に保存性の高い領域があることを見出した。さらに6つのHisと1つのMet残基が保存されていることが分かった。(b)ウシ副腎髄質から高純度のシトクロムb_<561>を大量に精製する方法を確立した。(c)精製標品のヘム含量の測定からタンパク質1分子(分子量27,700)あたり2個のヘムBを結合していると見積もられた。(d) EPR測定よりシトクロムb_<561> 1分子あたり少なくとも2つの独立なlow-spin型ヘムが結合していることが分かった。これらの結果よりシトクロムb561の小胞膜上における立体構造モデル(6回膜貫通モデル)を提唱し、4つのヘム配位子、アスコルビン酸、セミデハイドロアスコルビン酸結合部位をそれぞれ推定した。
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