研究概要 |
我々は、アブラムシの細胞内共生体が合成するストレスタンパク質・シンビオニンは、分子シャペロンとして機能するばかりでなく、2成分系センサー分子として共生体と宿主間の情報伝達機構に関与すると考えている。この仮設を立証するために、センサー分子・シンビオニンから高エネルギーリン酸基を受容する制御分子の検索を行い、これまでに4種類の制御分子(DnaK,SymL,OmpF,HistoneHl)を同定した。本年度は主にOmpF-相同分子に焦点を絞り解析を進め以下の成果を得た。 1.抗ー大腸菌OmpF抗体を用いた電子顕微鏡免疫組織化学法により、OmpFー相同分子は主に共生体の外膜画分に局在し、一部は細胞質中にも存在することを明らかにした。又、シンビオニンは、共生体の細胞質にのみ存在することを明らかにした。 2.OmpF-相同分子の全アミノ酸配列を明らかにするために、OmpF遺伝子のクローニングを開始し、これまでに、OmpF遺伝子の一部(約700bp)をクローニングした。 3.アブラムシ共生体から外膜を単離する方法を確立し、シンビオニン/単離外膜から成るin vitroの2成分型情報機構解析系を確立し、リン酸基転移反応のキネティックスを詳細に解析した。
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