研究概要 |
(1)背景 我々はタイト結合に特異的に分布する蛋白質(7H6抗原:barmotin)を見いだし(J.Cell Biol.120,477-483,1993)、barmotinがバリア機能に密接に関連することを明らかにした(Exp.Cell Res.214,614-620,1994).クローニングにより、barmotinがSMC分子モーターの哺乳動物の最初のメンバーであることを明らかにした. (2)研究実績の概要 本研究ではbarmotinの作用機構を明らかにし、SMC分子モーターの多様性とその機能の解明を目指し、以下の2つの研究を行った. i)barmotinのモーター制御機構とタイト結合での作用 barmotinの分子プローブとして組み換えbarmotinに対する抗体を作成した.barmotinをT7RNA polymeraseのフュージョン蛋白質として発現させ、精製ののちに家兎に免疫しbarmotinの各ドメインに対する抗体を得た.本抗体は7H6モノクローナル抗体とのsequential immunoprecipitationの結果ラット肝臓において7H6モノクローナル抗体と同一の蛋白質すなわちbarmotinを認識していることが明かとなった.現在動物細胞での発現系を作成中である. ii)新しいSMC分子モーターの探索 SMC分子モーターは構造とアミノ酸配列よりSMC1およびSMC2のサブファミリーに分類される.BarmotinはこのSMC1に属することがアミノ酸配列の検討によって明かとなった.さらにSMC1ファミリーに特異的なアミノ酸配列GPNGSGKSNを見いだし、本配列に相当するdegenerated oligonucleotideを作成しプローブとしてヒトおよびラットのライブラリーをスクリーニングした結果新たなSMC分子を5つ単離した.現在全シークエンス配列の決定と抗体の作成を行っている.
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