昨年度(平成8年度)において、Hdj2がHsp40と同定度にHsc70のATPase活性を増大させること、及びHsp40よりも基質結合能が高いことが分かった。そこで、本年度はHsp90共存下に熱変性させたホタル・ルシフェラーゼのリフォールディングについてHdj2の効果を検討した。ルシフェラーゼは熱変性すると同時にHsp90に結合してリフォールディング可能な状態に保持される。そこに、Hsc70とHsp40、そして極微量のウサギ網状赤血球ライセ-トを加えると、速やかにリフォールディングして、活性を回復する。Hdj2は、Hsp40に比べて基質結合能が高いので、Hsc70とHdj2だけでもリフォールディングが起こることが期待された。ルシフェラーゼをHsp90存在下で45℃、5分間熱処理し、完全に失活させた後、Hsc70とHdj2、あるいはライセ-トを加えて、30℃、30分間インキュベートしてルシフェラーゼの活性の回復をルミノメーターで測定した。その結果、Hsc70とHdj2だけではリフォールディングは起こらず、Hsc70とHsp40の場合と同様に、極微量のライセ-ト(それだけではリフォールディングは起こらない)が必要であった。しかも、その効果はHsp40の方がより強く、Hsp90に結合したシフェラーゼのリフォールディングには、Hsc70とHsp40が関わっていることが示唆された。このことは、基質結合能の強弱に関わらず、Hdj2とHsp40はそれぞれが基質特異性やフォールディング反応特異性といった違いを発揮して、役割分担をしている可能性を示しているものと思われる。
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