メダカES様細胞株OLES2を用いて、相同組換えによって細胞に遺伝子を導入するための実験条件を以下のように検討した。 1)エレクトロポレーションによる遺伝子導入の条件の検討 エレクトロポレーションにおけるパルス強度と細胞の生存率、および遺伝子の導入率をしらべた。レポーター遺伝子として、メダカβ-アクチンプロモーター・GFP融合遺伝子(OBA-GFP)を用い、遺伝子を導入した細胞におけるGFPの発現による蛍光を観察した。0から450Vの範囲では、電圧が上昇するにつれて細胞の生存率は低下する一方、GFPの発現は上昇した。450Vでの生存率は12.8%、処理細胞あたりのGFP発現率は0.8%であった。 2)ポジティブ・ネガティブセレクションのための条件の検討 300〜600μg/mlの濃度のネオマイシン類似体G418存在下では、9日以内にほとんどすべての細胞は死滅した。MC1プロモーターにつないだneo耐性遺伝子(MC1-neo^r)を細胞に導入したところ、300μg/mlのG418存在中で活発に増殖する細胞集団が得られた。 次にGANCの細胞に対する毒性を調べたところ、0.2μM以上では毒性があることがわかった。MC1-tk-MC1-neo^rを細胞に導入した後、600μg/mlの濃度のG418存在下で1カ月培養して、G418耐性の細胞集団を得た。現在、この集団から8クローンを単離して増殖させている。
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