すでに樹立されていたES様細胞株OLES1に続き、OLES2を胞胚期胚盤葉細胞の培養によって樹立した。この細胞株を用いて、相同組換えによる遺伝子の導入法の開発を以下に1)〜2)述べる点について試みた。 1)細胞に遺伝子を導入するための実験条件を、エレクトロポレーションとリポフェクションについて調べた。エレクトロポレーションについては、メダカβ-アクチンプロモーターにGFP遺伝子をつないだDNA断片をマーカーとして電圧の条件を0〜450Vの範囲で変えて遺伝子導入の効率を調べた。その結果、電圧が高くなるにつれて、細胞の生存率は低下し、遺伝子の導入率は上昇することがわかった。電圧が最高の450Vでの生存率は12.8%、導入率は0.77%であった。 リポフェクションについてはリポフェクタミン40μlとDNA18μg/ml培養液で20時間処理の条件で遺伝子導入を行ったところ、0.5%の細胞がGFPを発現した。GFP発現細胞を単離して培養し、GFP発現クローンを得た。 2)相同組換え体の選別を行うために用いる選択薬剤G418とGANCに対する細胞の感受性を調べた。 G418の濃度が0〜600μg/mlの範囲で調べたところ、300μg/ml以上の濃度で感受性を示し、600μg/mlではすべての細胞が5日以内に死滅した。ネオマイシン耐性遺伝子DNAをエレクトロポレーションによって細胞に導入したところ、G418の濃度が600μg/mlでも耐性を示す細胞集団が得られた。また、フィーダー細胞にも遺伝子を導入し、ネオマイシン耐性フィーダー細胞株を樹立した。 GANCの細胞毒性を0〜0.5μMの範囲の濃度で調べたところ、0.1μMでは明らかな毒性は見られなかったが、0.2μM以上の濃度では濃度依存的に毒性が見られた。
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