研究概要 |
1.一つの硬節中にマウス胴部神経冠細胞の移動様式が異なる3つの領域が存在し、それぞれの領域の大きさは、神経冠細胞の移動期を通じて規則的に変化する事が判明した。 2.神経冠細胞の移動期においてコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの硬節内分布は規則的変化を示し、この変化は神経冠細胞の移動様式の変化と密接に関連していた。 3.硫酸化プロテオグリカン合成阻害剤(β-D-xyloside,sodium chlorate)で処理されたマウス胎児において、正常胎児で観察された様な胴部神経冠細胞の移動様式は完全に消失していた。この結果は、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの硬節内分布の規則性をもった時間的・空間的変化が、マウス胴部神経冠細胞の移動様式形成に重要であることを示す。 4.テネイシンノックアウトマウス胎児における神経冠細胞の移動は、正常胎児と変わらなかった。この結果は、マウス神経冠細胞の移動様式形成にテネイシンの直接関与は少ない事を示す。 5.前・中脳領域におけるマウス頭部神経冠細胞の移動が解析された。その結果、5体節期にはすでにこれらの領域において神経冠細胞の出現が見られ、12体節期には顔面・下顎部の間充織に広く分布することが判明した。さらに、多くの中脳神経冠細胞は、特定の領域すなわち中・後脳境界付近の間充織を移動することが判明した。
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